福島県生涯学習インストラクター・コーディネーターの会

曙光17あいさつ

曙光17あいさつ

「生涯学習の震災復興に果たす役割」

~夢と希望を持ちながら一歩ずつ前進を~

相双方部・顧問:紺野 幸

 東日本大震災からまもなく2年目を迎えますが、南相馬市では、まだ約2万8千人が避難中です。復興の遅さと責任は誰なのか明らかにされないままでの政権交代、誰を信じ、誰に未来を託するのかが大きな課題の年になりました。
 今、被災地の大きな問題は人間関係の崩壊と自己中心的な高齢者の増加、孤独死や精神的な病気の患者の増加です。南相馬市の12月16日現在の震災時の直接死が636人、その後の避難や精神的な肉体的な関連死と認定されたのが376人、合わせて1,012人の犠牲者は、天国で何を考えているのでしょうか。
 第三の人生の生きがいに楽しみを持ちつつ、社会貢献をされておられた貴重な人的損害は、これからの高齢化社会になくてはならない存在であったことは誰もが認める事実です。
 こうした時こそ、生涯学習とは「人々が生涯にわたってさまざまな経験や交流を重ねながら人間性の完成へ向かって人生を深め、究めていくことこそ、その意義であり、発展である。」(ホール・ラングラン)と言われていますが、改めて生涯学習に関わる方々がかみ締めなければならない言葉である。
 私も、平成7年10月に二級・14年5月に一級の生涯学習インストラクターの資格取得と共に、南相馬市の生涯学習アドバイザーに委嘱され、「みゆきの生きがい講話集」を第1集から第4集まで発刊し、昨年9月に900回の講演講話と傘寿記念・いきいき長寿県民賞受賞記念として昨年12月に第5集を発刊し、「震災を乗り越えるためには」「高齢者の生きがいや役割とは」「若者への期待と責任」「子育ての責任と躾」「健康と介護の問題」の課題など約50編のメニューを完成し、震災復興のための「心と身体の健康」と「人間関係崩壊の復活」など訴えながら講演活動と認知症15年目の妻(介護5)の在宅介護をしながら前向きに自分自身の生きがいとして頑張っています。
 超高齢化時代、老々介護時代、特にこの大震災と原発事故による対応や非常時に対する過去の経験の活かし方についての情報の氾濫や生活への適応態度の浅はかさが、多くの悲劇を生んでいるとき生涯学習の必要性は誰しもが認めていることである。私が作成し、皆さんにお話ししているメニューに「東日本大震災を乗り越えるために人命の大切さと先人達の災害時に教訓は生かされたのか」としてまとめ、「生きる力」「言葉の力「生きる希望と夢」」などをお話し、太平洋戦争で体験した政府の掩蔽や国民のすべてをお国のためにと供出させ、その貧苦に耐え、ポツダム宣言の受諾を昭和天皇が玉音放送で全国に放送し、戦争終結と天皇の8年半に及ぶ国民への謝罪の巡幸は国民の心を動かし、5~6年で経済国家、文化国家に復興させた経験の持ち主である高齢者は、前に進むことも忘れ、愚痴と不平による責任転嫁や賠償ばかり、子供の眼に映るものはなんなんだろうかとこれからの成長の基本となる心の空白を危惧しているのは私一人だろうか。
 こういう時代に生涯学習に携わる我々は、子供達を始め、若い人たちに人の話を聞くことの必要性と、人のために働くことや支え合うこと、手を差し述べることの重要性を理解させ感謝の心を忘れず、この震災の復興のために、まず、心の復興から始め、家族や近隣の人間関係の修復と、昔の故郷への思いをありのままに語り継ぎながら、なぜそうあらねばならないのか。もう一度自分の足元を見つめさせ考えを新たにしなければ復興などあり得ないのではないかと思われる。
 天皇陛下の3月16日の被災地、被災者を思う心のビデオメッセージや被災地訪問をはじめ追悼式でのお言葉、今年の元旦の言葉を聞き、私たちがそれに答えるためには、それぞれの知恵と努力を結集してこそ大きな復興への原動力になるものと信じている。
 生涯学習のインストラクター・コーディネーターの皆様の努力や活躍が大きく期待される年である事を再認識し、この震災復興のために結集しようではありませんか。

 

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